ROCK BULLの開発秘話
■今回ROCK BULLを開発した経緯を教えて頂けませんか?
西口:私自身、2000年頃から20年以上ショアの青物の釣りを楽しんでおります。
その中で創世期は80g~120gを使用したショアジギングというジャンルが全盛でした。
そうした中で2008年頃からオフショアヒラマサキャスティングでダイビングペンシルを使用したヒラマサの誘い出しという釣り方が流行しました。
■その釣り方をロックショアからすることによって、ロックショアヒラマサキャスティングが空前のブームをむかえましたよね。
西口:はい、私自身もダイビングペンシルを使用してからは、ジグを投げる回数が激減しました。
それくらいダイビングペンシルの威力が凄かったです。
必然的にメーカー各社からダイビングペンシルやTOPで大型ヒラマサを狙うロッドが発売されていきました。
でもやり込んでいくうちに、どうしても自身の理想のロッドが見つからなかったのです。
■開発当初から、強力なバットパワーと繊細なティップというコンセプトで開発していました。
長さも通常のショアロッドよりも短かい8'8”と言うことでした。
なぜ8'8”なのでしょうか?
西口:まず、ショートロッドの利点ですが、
・軽快に取り回しができる。
・ダイビングペンシルの操作が短かい分、軽快かつ繊細に操作できる。
・ファイト、とくに瀬際のヒラマサとの攻防が凄く優位にできる。
・短かい分、素早く曲げこんでロッドパワーを活かすことができる。
・大型ヒラマサにのされ難い。
サクラさんの「曲げて獲る」というブランクスが私は昔から大好きでしたが、今回は3 ピースと言うことで強度が凄く心配 でした。
通常の2ピースの青物ロッドよりも破断強度が強い設計になっております。
曲がりの頂点が3ピースの真ん中のブランクスに来ますのでサクラでは逆に強度は上がるのです。
破壊強度試験の結果を見たときは私自身ビックリしました。
3ピースと言うと遠征用?と思われるアングラーもいると思いますが、決して遠征用の3ピースではありません。
ROCK BULL88-3を作るうえでは3ピースが必然だったのです。
■あと先ほどファイトでも有利とお聞きしましたが、もう少し詳しくお聞かせください。
西口:磯でのヒラマサとのファイトでは瀬をかわすために、横移動することもありますが、ショートロッドでは横移動時もロッドを曲げやすく魚にプレッシャーを掛けれます。
そして良型ヒラマサが良くヒットするシャローエリアにおいても大きな威力を発揮します。
■ショートロッドだとシャローエリアは不利と思っていました。
西口:シャローエリアでは魚は横や沖に走ります。
ショートロッドをしっかりと曲げこんで立ててファイトすることによって、ロッドのバットパワーを最大限に利用できます。
そうすると沖でも、横でも、魚が走りながらロッドのトルクにより中層に浮くのです。
それによって根ズレを安心して避けられます。
ロングロッドでパワーがあるロッドだとヒラマサの引きで立てられず、若干のされた状態でのファイトになります。
そうなるとシャローエリアでは魚は浮きませんので、根ズレをしてしまいます。
■なるほど!すごく解りやすいです!フィッシングショーと時でもプロトロッドを見に来たお客様に同じ説明していましたね。
西口:ROCK BULL88-3は触った感じ、ライトに感じます。
フィッシングショーや現場で会うアングラーにも同じことを言われます。
でも皆さんロッドに糸を通し、曲げた込んだ時に”凄いパワー”といって、180度印象が変わります。
このロッドは曲げれば曲げるほどパワーを発揮してヒラマサをキャッチできるロッドに仕上がってます。
■喜んでもらえるロッドを作ることができて、弊社も楽しみです。
西口:88-3という少し他とは違うロッドですが、それぞれのスタイルに合わせて選んでもらったらよいと思います。
私はロックショアのストロングスタイルで釣りを楽しんでるアングラーには凄く合うロッドだと感じています。
■ROCK BULL88-3について色々とお話し頂きありがとうございます。
西口:こちらこそ、ありがとうございました。
■次にもう1機種。ROCK BULL103-2がありますね。
こちらのロッドについても色々とお聞かせください。
どんなロッドなのでしょぅか?レングスは通常の青物ロッドの長さですね。
西口:はい、ロックショアロッドのど真ん中を狙って開発しました。
ど真ん中と言っても10㎏オーバーのヒラマサを狙う上での、ロックショアロッドのど真ん中です!!
■ど真ん中と言われますが、色々と西口さんのこだわりやコンセプトなどで開発は大変でした(笑)
西口:4本プロトモデルを作り直しましたからね(笑)
本当に私のコンセプトや設計通りにロッドを作ってくれてサクラさんの技術やロッドの作りへの拘りにはビックリしております。
私はルアーも設計開発しているので、色々なタイプのロッドを使ってルアーのテストをしております。
その中で自身が理想としているロッドが存在していないことに気が付きました。
その理想のロッドをサクラさんと開発しようとしたのがROCK BULL103- 2の開発スタートです
■コンセプトを教えて頂けますか?
西口:はい。バットの強いロッドは色々とあるのですが、バットの強さと比例してティップセッションも強くなってしまっているロッドがほとんどで、私自身の釣りのスタイルや自身が多く使用するルアーでは使い難かった。
理想のロッドはバットが強靭ですが、硬いだけのロッドではなく、アングラーに有利な体勢でファイトができるようにしっかりと粘ってくれるブランクス。
そしてロックショアから一番出番が多い160㎜~180㎜のダイビングペンシルをしっかりと扱えるティップセッションというロッドとして開発しました。
160㎜~180㎜がしっかりと扱えるロッドだと必然的に、180㎜~230㎜のルアーは扱えます。
しかし、200㎜~250㎜が扱えるロッドでは160㎜~180㎜のルアーは実は扱いにくいのです。
■レングスも10ft.からスタートして色々とレングスを調整しながら最終的には103-2になりました。
88-3のイメージで10ft.前後の2ピースという要望には苦労しました。
西口:色々と無理をお願いしました。
8'8”なら3ピースでできましたが、103-2に関しては一般的なロックショアロッドと同じ2ピースで行きたかった。
10ft.だと3ピースでは少しだるさ感が出ると思いました。
103-2は、
・モンスターヒラマサを浮かせるバットパワー!
・曲げて粘ってそして魚を浮かす粘りのあるブランクス!!
・160㎜のダイビングペンシルをしっかりと扱える繊細なティップ!!
・130g以上のルアーも無理なく投げる事ができるティップ~ベリーセッション!!
を持ち合わせた理想的なロックショアロッドに仕上がっております。
■あと仕舞レングスを160㎝までに抑えてほしいとの要望がありましたが、それはなぜでしょうか?
西口:160㎝は離島の飛行機の貨物に預ける事ができるサイズだからです。
フェリーで離島に行く場合は良いですが、飛行機で行く場合は長さが制限されます。
通常なら10ft 3inのレングスで印籠継ですと160cmは超えてしまします。
それを印籠継で160㎝に収めれることができるようにお願いしました。
ROCK BULL103-2は飛行機での離島遠征でも持って行けるロッドです。
■ありがとうございます。
ROCK BULL103-2は強靭なバットパワーを持ちながら、繊細なティップで小型のダイビングペンシルを「しっかりと扱える」ロッドと言うことですね。
最後にROCK BULLの88-3と103-2の選び方を教えて頂けますか?
西口:両方とも破断強度は20㎏以上あり、「曲げて浮かせる」トルクフルなロッドです。
ティップも「ペンシルスペシャル」と言って良いほど、他社製に比べても圧倒的に操作がしやすいロッドに仕上がっています。
あとは、良く行くフィールドの足場の高さ、アングラー自身の体格などによって選んで頂けたら良いかと思います。
良いロッドを作って頂きありがとうございます。
■今日は色々とお話を聞かせて頂きありがとうございました。
2023年9月19日 西口元晴氏との対談を抜粋